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羽生善治九段のこれまでの活躍。これからの活躍

現在の将棋界は渡辺明名人、豊島将之竜王藤井聡太二冠、永瀬拓矢王座の四強時代といっても過言ではないでしょう。8つのタイトルはこの4棋士で分け合っている状況です。この中で最年長は渡辺名人の36歳。すっかり世代交代となった印象を受けます。

 

しかし、その時計の針を逆回転させようとするベテラン勢の活躍も目立ちます。

たとえば王座戦に挑戦中の久保利明九段。久保九段らしい粘りの将棋で大逆転勝利で王座獲得まであと1勝となりました。もし獲得を果たせば、通算タイトル8期となり歴代9位タイとなります。

そして、誰もが名前を知っている将棋界の象徴・羽生善治九段。先日50歳の誕生日を迎えられた羽生九段が、タイトル戦に帰ってきます。しかも、将棋界で序列トップのタイトルでありかつ羽生九段が最後に失ったタイトルである「竜王戦」に、「通算タイトル100期」の偉業を懸けて。

そんな羽生先生のこれまでの活躍を振り返り、これからどんな活躍をしていくのか予想してみたいと思います!

 

【目次】

 

 

 

 

10代~デビューから初タイトル獲得まで

史上3人目の中学生棋士として1985年にデビューを果たした羽生九段は、デビュー実質初年度にあたる1986年度に最高勝率を記録、新人賞を受賞します。後に「羽生世代」と呼ばれるように、同世代には佐藤康光九段(永世棋聖有資格者)・森内俊之九段(十八世名人有資格者)などの強豪棋士が数多くいますが、その世代を引っ張っていくように早くから活躍していきます。

そんな羽生九段が全国的に知られるようになったのが1988年度のNHK杯でした。当時18歳、まだ五段だった羽生九段はNHK杯にて当時の現役棋士の名人経験者全員を破り優勝しました。今でも語り継がれる一手「5二銀」が飛び出したのも、このNHK杯での加藤一二三九段との対局においてでした。この年度は、将棋大賞の個人記録4部門を独占するなどして自身初の最優秀棋士賞を史上最年少で受賞しました。

そしてその翌年度である1989年度、19歳となった羽生九段は遂に初タイトル「竜王」を獲得します。当時史上最年少のタイトル獲得、現在でも3番目の年少記録となっています。

 

20代~伝説の七冠独占

19歳で獲得した竜王位は一度失うものの、すぐに「棋王」を獲得します。そしてここからおよそ30年もの間、羽生九段はタイトルを保持し続けることとなります。

21歳にて「王座」も獲得し、当時史上最年少の複数冠保持者となります。また、この「王座」獲得は、長い長い連覇記録の始まりでもありました。

22歳のときには、前年に四冠の偉業を成し遂げた谷川浩司九段(当時竜王含む三冠)から「竜王」を奪取、最多タイトル保持者となりました。タイトルはそのまま五冠にまで増え(五冠は大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人に続き3人目)、いよいよ七冠独占が期待され始めることとなりました。

七冠のチャンスが訪れたのは24歳。「竜王」奪取によって史上初の六冠保持者となり、残すは「王将」のみとなりました。その相手は谷川王将(当時)。谷川王将にとっても、自身が被災した阪神淡路大震災がタイトル戦期間中に発生したことから特別なタイトル戦となっていました。羽生九段は同時進行していた棋王の防衛を先に決め(この際永世棋王資格獲得、羽生九段にとって初の永世タイトル)、王将戦はフルセットにもつれ、最終的には谷川王将の防衛で、七冠独占はなりませんでした。羽生九段もこのときはしばらく七冠独占のチャンスは巡ってこないと感じたとのことです。

しかし、ここから神憑り的な活躍を見せたのが羽生九段。それが24歳から25歳となる1995年度でした。なんと羽生九段は保持していたタイトル全てを防衛し、また最難関リーグとされる王将リーグを再び勝ち抜き、2年連続で谷川王将に挑戦することとなりました。前年と異なり、王将戦は挑戦者のストレート勝ち。史上初の七冠独占を果たすこととなりました。この年の勝率は0.8364、当時歴代2位という記録でした。しかもこれはタイトル戦全てに登場した上での数字です。どれだけ驚異的かがわかります。

96年度の棋聖戦で三浦九段に敗れ、七冠独占は終了しますが、その後も四冠以上の保持が続きます。この間に、永世棋聖名誉王座永世王位の資格も獲得し永世四冠となりました。

 

30代~絶対王者は終わらない

その後もタイトルを順調に守り続けていた羽生九段でしたが、異変が生じたのが33歳のときでした。永遠のライバルともいえる同い年の森内九段に「竜王」「王将」「名人」と立て続けに奪取され、王座の一冠に後退してしまいました。この際、リーチとなっていた永世名人永世竜王の資格獲得どちらも阻止されたこととなります。

ですが、絶対王者はそのまま終わりません。すぐに「王位」を獲得し一冠の時期を終わらせ、その後34歳になってからは「王将」と「棋王」を獲得、2004年度のうちにあっという間に四冠まで復活しました。

35歳にてずっと連覇が続いていた王座戦で14連覇を達成。同一タイトル連覇の新記録を樹立しました。この記録は後に19連覇まで伸びることとなります。また、王将位も通算10期となり永世王将資格を獲得、これで永世五冠となりました。残すは永世名人永世竜王です。

そして2008年度、37歳から38歳にかけてのシーズン、その永世名人永世竜王の資格獲得のチャンスを迎えます。まず名人戦、この時期は14年もの間「名人は羽生か森内」という状況でしたから相手は当然ながら森内九段。森内九段は前年に羽生九段より一足早く永世名人の資格を獲得しています。この名人戦は羽生九段の奪取となり、永世六冠となりました。永世六冠は史上初の出来事でしたが、世間の関心はもはや「永世七冠の完全制覇」に向けられていました。しかもこの年の竜王戦は、前年に渡辺竜王(当時)が4連覇を果たしていたこともあって、「渡辺防衛で竜王5連覇、羽生奪取で竜王7期、つまりどちらが獲得しても初代永世竜王に」というシリーズでした。番勝負は挑戦者の3連勝で始まるものの、その後4連敗で渡辺竜王の防衛となりました。番勝負での3連勝4連敗は史上初の出来事でした。永世七冠はお預けとなります。

 

40代~正真正銘のレジェンドへ

41歳を迎えた羽生九段、2つの偉業を成し遂げます。まずは2011年度のNHK杯で通算10回目の優勝、名誉NHK杯選手権者という称号を得ます。 そして2012年度の棋聖戦では防衛を果たしタイトル通算81期、これで通算タイトル獲得数は単独1位となりました。

この頃になるとタイトル戦でも相手が同世代ではなく年下であることが増えてきました。それでも43歳での四冠復帰(2014年度。森内九段からの名人奪取による)など、羽生九段はトップに君臨していました。

しかし、いよいよ世代交代は本格化します。その象徴と言えそうなのが、2016年度に開催された第74期名人戦。羽生九段は45歳でした。このとき、20歳近く年下である挑戦者の佐藤天彦八段(当時)に敗れ、名人位を失冠。当時現役最年少の名人経験者は羽生九段と同い年である森内九段でしたが、それが一気に若返りました。翌年には王位戦王座戦でそれぞれ当時20代の棋士に敗れ(王位戦では菅井竜也八段、王座戦では中村太地七段)、13年振りに一冠に後退。いよいよ「羽生時代」の終わりがはっきり見えてきた、そんな印象でした。

そんな羽生九段、ここでまたあのチャンスが巡ってきます。47歳にして竜王戦の挑戦者となり、永世竜王永世七冠を懸けた戦いが始まりました。相手は当時竜王保持者だった渡辺名人。その渡辺名人を相手に4勝1敗と快勝し、遂に永世竜王の資格獲得、永世タイトル制覇を成し遂げたのでした。初獲得からは28年、6期目を獲得してから15年の歳月を要した永世竜王資格となりました。

2018年、48歳を迎えて臨んだ竜王戦では広瀬章人八段による奪取を許し、27年振りの無冠となりました。一方、2019年3月にはNHK杯を制覇し、一般棋戦優勝が45回となりました。これで一般棋戦優勝記録でも単独1位となりました。

そして、2019年度を迎え、従来の通算最多勝利数である1433勝の記録も更新しました。30年近くに及び竜王戦1組以上・順位戦A級以上の座を守り続け、現在に至ります。

 

50代~竜王挑戦は復活の狼煙となるか

そして、羽生九段は10月9日に開幕する第33期竜王戦七番勝負に挑戦者として出場します。本人が持つ竜王挑戦最年長記録および竜王戦番勝負出場最年長記録はどちらも更新されることになります。もし羽生九段が番勝負を制すれば、通算タイトルも100期に到達することとなります。ただし、相手の豊島将之竜王も、悲願の初防衛に燃えているでしょう。レーティング的にも豊島竜王は羽生九段から見て格上の相手となります。

 

その後、羽生九段が更新に挑むことになりそうな記録は以下のようなものになりそうです。

・通算最多対局(2505局)

順位戦A級以上在位(44期)

・史上最年長タイトルホルダー(59歳)

・史上最年長タイトル挑戦(66歳)

・史上最年長竜王戦1組在籍(69歳)

・史上最年長順位戦A級在籍(69歳)

・史上最年長現役(77歳)

これらは対局数と現役年齢については加藤一二三九段、それ以外は大山康晴十五世名人の持つ記録です。対局数以外の記録は正直達成は難しいようにも思います。これらの記録にどれだけ近づけるかに注目したいです。